10年後の自分が見えるヤツ 1年後の自分も見えないヤツ
 
  キミの人生をデザインするのはキミ自身だ なりたい自分になる12の条件  
著者
落合信彦
出版社
青春出版社
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2001/4/14
ISBN4−413−03259−4

はじめに

人間というのは、もともと怠慢な生きものだ。
ちょっとでも楽をしてしまうと、すぐに慣れてしまい、それが当たり前になってしまう。

だから、オレはいまでも、夜中に原稿が1枚も書けなかったりしたら、翌日はメシを食わない。
「仕事もしないでメシを食うなんて、何ごとだ!そんな権利はあるのか!おまえなんかブタ以下だ!」と自分を叱喧し、結果が出るまで絶対に何も食わない。

甘やかすと、怠慢になってしまう自分を知っているし、いまの自分に満足したくないから。
もっと素晴らしい人間と出会いたいし、もっともっと、広い世界にコミットしていくには、ぬるま湯に浸かっていてはダメだということが体に刻み込まれているからだ。

ジャーナリストになり始めのころは、慣れないこともあって、部屋に閉じこもって原稿を書くというのは、いろんな面で苦痛をともなったものだった。
まず、気分を日常からドラスティックに厳しい世界へとチェンジしなきゃいけない。

オレの場合、原稿を書き出すと一晩中起きていて、朝方に寝て、昼に起きてまた書き出すというそれまでの生活と180度ちがうリズムになるだけに、チェンジするのも大変だった。
それで、あるとき、一晩でリズムを切り替える方法はないかと考えた。

一晩寝ないで起きていれば、自然と仕事のリズムに体がなじんでいくから。
では、いったいどうしたか?

カップラーメンを山ほど買ってきて、夜中にいきなり5コ食ったんだ。
すると、気持ち悪くなって、2-3分後には吐く。

それで、さらに5コぐらい食うと、もう、気持ち悪くて、気持ち悪くて、睡魔なんていっぺんに吹っ飛んでしまう。
さすがに、その日は原稿を書くどころではなかったが、その方法だと一晩で生活のリズムを変えることができた。

人間、楽な生活に慣れちまうと、どうしても「なんでこんなことをしなきゃいけないんだ」となってしまうから、ときには自分を追い込んでいく工夫も必要なんだ。
精神をハングリーな狼にするためにも。

当時は、まだ4Bの柔らかい鉛筆で原稿を書いていたんだが、まったく筆が進まないことも、ときにはあるわけだ。
そういうときは、握った鉛筆の端に火をつけて、1行でもいいから、書き出すまでは絶対に指を離さないようにした。

すると、だんだん火が手のほうに近づいてきて、熱くなっていくもんだから、「エエィ、なんでもいいから書いちまおう」って書き出すと、いつの間にか筆が進むようになっていた。
要は、自分という人間をどれだけ意識できるかだと思う。

少なくとも、1年後の自分をイメージできる人間は、「いま、何をやらなければいけないのか」ぐらいは、はっきりと意識できるはずだ。

 

 

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