グッド・バイ・マミー
 
  子供がここまで母親を憎むって、自分でもすごいと思う。 マミー、あんたは本当に可哀想な人だよ。オレは自分の中で”母親”という生き物を殺してイアタつもりになり、完全に父子家庭のはずだった。なのに、自分の都合だけで時々現れては消えていく・・・・。残酷だよね。オレは早く大人になりたかった。大人になって当たり前の幸せが欲しかった。  
著者
ケニー・野村
出版社
新潮社
定価
本体価格 1200円+税
第一刷発行
2001/09/10
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ISBN4−10−449001−6

プロローグ

今、世間には、野村沙知代の子育てがどうしたとか、しつけがどうとか、嫁だの息子だのともっともらしいことを言ってる本が出まわっているけど、あれって誰のことを書いているのかな……?
彼女が、息子を三人産み落としたのは知ってるけど、三人のうちのどの息子を育てたことにして本を書いているんだろうか。

「カツノリ命」とか言ってるけど、そのカツノリだって自分で育てた訳じゃないよね。
彼女の腹の中から出てきたうちの一人の息子として、これ以上恥かしい思いをしない為にオレにも一言いわせてもらう。

「子供なんて一人も育てたことないんだから、『母として』とか、『息子命』とか、息子たちが笑っちゃうような本を出さないでよ!」
オレはこの本で、自分が産まれてから今日現在のことまで、本当のアンタの生きざま、オレたちの子供の頃のこと全て書いて、日本のみんながオフクロのまるで立派な母親だったように書かれている本に騎されないよう、心の底から祈る思いで書こうと思っている。

オレも四十二歳。
自分らしく、オレ自身の言葉で真実だけをみんなに知らせたいんだ。
不幸にもあのオフクロの息子として生れたからには、オレ自身の責任として本当のことを言う義務もあると思うしね。

人間って、ウソついたり汚ない生き方してきたら、どこかで自分自身にいつか還ってくるはずだ。
あのまま好き勝手なことを言わせて、まるで教育論みたいな本を出させておくのは犯罪に近い。

オレはアメリカンスクールで高校までずっとアメリカ流の教育を受けてきたけど、日本を離れてからは一年に何回か日本に来て時代劇を見た。
すると、必らず悪い代官とか出てくるでしょう?

あのシーンで思いだすのが、オフクロのこと。
笑っちゃうけど、そんなイメージしかないのが事実なんだ。

でも、この本を出版して一番読ませたいのは、今でも自分は三人の息子の母親だと思い
込んでいるあの人なんだ。

オフクロ、読み終ったら「鏡」を見てごらん!
そう……、映っているのは、アンタだけが知っているアンタの本当の姿。

いくらフェイスリフトの美容整形をしていくつか若がえったように見えたとしても、あんたの心の中はあの時のまま。
そしてこれからも好き放題にウソを並べて、開き直って生きていくんだろうね。
マミー、あんたはかわいそうな人だよ。

 

 

・・・・続きは書店で・・・・

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