日産自動車の失敗と再生
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著者
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上杉治朗 | |||||
出版社
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ベスト新書/KKベウトセラーズ | |||||
定価
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本体価格 680円+税 | |||||
第一刷発行
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2001/10/01 | |||||
ISBN4−584−12020−X |
はじめに─あなたの会社は日産のことを笑えるほど立派ですか 業界でも輝かしい実績を誇った名門、日産自動車(以下「日産」)が経営危機に直面し、いよいよ崖っ淵に立たされて地獄谷を覗いたあげく、フランスの老舗ルノーの資本を受け入れた経緯を知らない人はいまい。 現代はいともあっさりと「まさか?」が「やっぱりそうか」と、ひっくり返ってしまうようなご時世である。 その日産が嘘ではないかと思われるほどの勢いで甦っている。 豹変した、というのはこういうことを言うのだろう。 九九年度の決算では六八四四億円という途方もない赤字を計上した。 それを「壊し屋」の異名をもつゴーンの手によって実現したのだから、たしかにニュースバリューはあっただろう。 ひとことで言えば、それはコーポレート・ガバナンス(企業統治の方法)の破壊であった。 日産の当時の社長、塙義一(現会長)の述懐は正直だし、当たっている。 それには国際的な経営のプロ、カルロス・ゴーンのすご腕に委ねるしかない!」 公団組織から株式会社に転換してまだ日が浅い(一九九〇年改組)ルノーの、親方日の丸的な公務員意識が抜けきらない企業体質を、目が覚めるほどのスピードで変革させた立役者がゴーンである。 ベルギー政府とも渡り合った。 だいいちにゴーンの実績を評価するのは早すぎないか。 国内市場におけるシェアの低迷、売るものはなんでもあるが売れるものが少ないという現状、それと海外事業の立ち遅れ、歯止めがきかない欧州事業の赤字などがそうである。
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