新しい皇室づくり
著者
松崎敏弥
出版社
講談社+α文庫 / 講談社
定価
本体価格 680円+税
第一刷発行
2001/12/20
ISBN4−06−256560−9
ご結婚9年目にして待望のお子さま誕生を迎えられた雅子さま。父娘二代のキャリア外交官から皇太子妃の道を選ばれるまでの一部始終と、過熱する報道の中で悲しい出来事もあったが、コウノトリのご機嫌をうかがいながら皇太子さまと歩まれた8年間を、「民間侍従」の愛称を持つ皇室記者歴41年の著者が克明に描く!

■目次
序章 皇室新世代、新しい命のご誕生;第1章 貫き通した皇太子さまの決意;第2章 雅子さまの揺れる心を支えたもの;第3章 皇太子さま・雅子さまのご結婚と新家庭;第4章 新しい皇室づくりの原点;終章 皇室の明るい未来に向けて

■要旨
ご結婚9年目にして待望のお子さま誕生を迎えられた雅子さま。父娘二代のキャリア外交官から皇太子妃の道を選ばれるまでの一部始終と、過熱する報道の中で悲しい出来事もあったが、コウノトリのご機嫌をうかがいながら皇太子さまと歩まれた8年間を、「民間侍従」の愛称を持つ皇室記者歴41年の著者が克明に描く。

 

祝! 新宮さまご誕生

平成十三年十一月三十日午後十一時十三分、東京・元赤坂の東宮御所の正門から三台の黒塗り大型車が静かに走り出た。
正門前に待ちうけていた報道陣のテレビライト、カメラのフラッシュを浴びながら、パトカーの先導で、権田原坂を下り、四谷見附、新宿通りをへて皇居・半蔵門から宮内庁病院へ向かった。
皇居・大手門に近い東地区にある宮内庁病院には、同十一時前、主治医の堤治東宮御用掛らの判断で近くのホテルに待機していた医師らが呼び集められ、雅子さまのご入院の準備が整えられていた。

湯浅利夫宮内庁長官、古川清東宮大夫ら宮内庁幹部へ連絡がされ、雅子さまのご実家の小和田家へも電話で伝えられた。
「皇太子妃ご入院」のニュースはただちに宮内記者会の幹事社を通じて各社に伝えられ、テレビは即時に特別番組を組んだ。
テレビのライトによってこうこうと映し出される中、午後十一時二十五分に宮内庁病院の御料玄関に車が横付けされると、宮内庁病院長をはじめ、定月みゆき産婦人科医長ら侍医、看護婦長など関係者が雅子さまをお出迎え。

皇太子さまがいたわるようにつき添われ、雅子さまはエレベーターで病院二階の特別室に入られた。
当日、主治医の堤治東宮御用掛の診察の結果、ご出産の兆候があったため秋篠宮さまの三十六歳の誕生日お祝いの夕食会を欠席された雅子さまは、夕食会から予定より三十分早く戻られた皇太子さまとご一緒に宮内庁病院に向かわれたのだ。

林田英樹東宮侍従長、高木みどり東宮女官長らも宮内庁病院に急行した。病院周辺には続々っめかける宮内庁職員、皇宮警察官、報道関係者が集まり、テレビの中継車なども行き交い、あわただしい空気に包まれた。
宮内庁では「妃殿下はご拝診の結果、ご陣痛はありませんが、分娩のご兆候がおありなので、宮内庁病院にご入院されました」と発表。

雅子さまのご両親も翌十二月二日午前七時四十分過ぎに目黒区の白宅から車でかけつけて、二階の特別室にお見舞いをされた。
特別室には、お見舞いの蘭の鉢や花籠などがつぎつぎに届けられていた。雅子さまご入院の知らせは、皇居・御所の天皇・皇后両陛下のもとへも届けられた。
当直の侍従から雅子さまのご入院をお聞きになった両陛下は「何かあったら知ちせるように」とおっしゃられて、ご出産を待ちかまえているご様子だったという。雅子さまのご入院にあたっては、今回新しく四百万円をかけて病室を改修している。

堤治東宮御用掛の指示でご出産される分娩室に「LDR」のシステムが導入された。
LDRとは陣痛(Lador)、出産(Delivery)、回復(Recovery)の略で、この出産前後のすべての段階を、妊婦さんを動かさずに一室で行うことができる最新のシステムである。
さらに最新機器として「3D(三次元)超音波診断装置」が設置され、ご誕生間近のお子さまの様子を正確にチェックできるようになっていた。

皇室の古くからのしきたりから、控え室には見届け役(御産所参候)として宮内庁次長が控えており、喜びの一瞬を待ちうけている。
病院内にはあわただしく行き交う医師、看護婦の姿がみられた。

ご入院から十三時間余りが過ぎた十二月一日午後零時四十分、主治医の堤治東宮御用掛が拝診した結果”ご出産近し”として、特別室から同じ階にある分娩室に入られた。しばらくの間、皇太子さまも雅子さまを励まされたという。
午後二時四十三分、分娩室から元気な産声があがった。(本文より引用)

 

 

 

このページの画像、本文からの引用は出版社、または、著者のご了解を得ています。

Copyright (C) 2001 books ruhe. All rights reserved. 無断でコピー、転写、リンク等、一切をお断りします。