雅子さまの愛と喜び
 
  ついに全国民待望久しい新宮さまが誕生した!!母親となった皇太子妃雅子さまその生い立ちから、華麗なる経歴、皇太子との出会いと再会、皇室入り、流産騒動、そしてご出産まで。心のうちに秘めたさまざまな想い、そして知られごるエピソードを交えて雅子さまのすべてを綴る!!また、雅子さまの素顔とともに、雅子さまを支え続ける皇太子の一途な純愛、美智子皇后の苦悩と決断も明らかにする!!  
著者
河原敏明
出版社
講談社+α文庫/講談社
定価
本体価格 680円+税
第一刷発行
2001/12/20
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ISBN4−06−256562−5

文庫版まえがき

昭和六十一(一九ハ六)年十月十八日、スペイン国王の長女、エレナ王女を東宮御所(現・赤坂御所)に迎えてレセプションが催された。
独身の王女のため、こちら側も若い女性を中心に四十人近くを選んだが、その一人が小和田雅子さんだった。
雅子さんは皇太子殿下にものおじもせず、堂々とアメリカの生活体験などを伝えたが、巧みな話術と知的な話しぶり、スマートで人馴れした応対、美貌で健康美溢れるスタイル。
殿下には、極論すれば魂を奪われたようなショックだったらしい。
二年の英国留学を終え、帰国直前の殿下と二時間のインタビューをさせていただいたとき、殿下は女性観を、「ときにはきついと思うこともありますが、自分の意見をはっきり言い、男性とも対等に堂々と話すことを、僕は非常に魅力に感じますね……意見を言うときは、しっかり話せる人が好きですね」などとおっしやっていたが、雅子さんこそ、まさにその人であった。
殿下は、この日の出会いをご両親にちなんだ"運命的出会い"ととらえたようだ。
こういう方にこそ新しい時代の東宮妃、皇后として自分を支えてほしい……。
その決意のもと、デートが立て続けに数回もたれた。
ところが多くの上司、同僚、下僚を持つ職業女性、そして雅子さんの祖父が「水俣病」を引き起こしたチッソの役員だったという問題もあってか、宮内庁は容易に賛成しなかった。
雅子さんも皇室生活に自信が持てないと辞退していた。
殿下はそれでも初一念を崩さず、さらに美智子皇后の強い要請(お二人の婚約直後、某有名女優(夫君は政治家)が私にわざわざ「皇后さまは涙さえ浮かべて雅子さまを説得されたそうですね」と自信を持って話された)もあって、六年を経て、ようやく初志を貫徹された。
殿下の強い持久力、自己抑制心、清純性に感銘を禁じ得ない。
ただ二千年の伝統を固守する宮廷は特別の世界である。
独特の皇室神道、宮中祭祀、宮中儀礼、旧い慣習・習俗、百二十四代歴代天皇の事蹟、有職故実……。
雅子さまのたやすく適応できるところではないかもしれない。
皇室に入って急変した環境でしばしばカルチャー・ショックもあったに相違ない。
それに宮廷を取り巻く人々の考えも多様である。
旧時代の遺物的固陋な人もおり、対人関係には神経を擦り減らすこともあるだろう。
それらの克服には雅子さまの英知と外交的手腕・応対で乗り切るほかはない。
民間出身の皇后さま、雅子さまは庶民感情、対皇室感情の機微に通じていらっしゃる。
お二方の協力で国民との接点をより深くしつつ、皇室の開明化に努めていただきたい。
そこへ十二月一日、国中を揺るがした大朗報。
全国民待望久しい皇孫が誕生した。
ご結婚八年来の宿願が、ようやく達成されたのだ。
両陛下、とくに美智子さまの暖かい育児指導と母親雅子さまの愛情によって、すばらしいご成長を祈りたい。

平成十三年十二月の佳き日に

河原敏明

 

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