はじめに
七転八倒して、決意の議員辞職です
バッジの重さ
辻元清美です。
「衆議院議員の辻元清美です」と、肩書きがいつもついてまわって自己紹介していたので、何もなくなると、この肩先あたりがちょっとさみしいです。
衆議院議員の議員辞職。
有権者から選ばれ付託された、立法府の一員としての役割を自ら降りるということの意味の大きさ。
それをいま、実感しています。
私は議員辞職の記者会見で、衆人環視のなか、衆議院議員のバッジをはずしました。
そのことを、カメラを意識したパフォーマンスだと批判されましたが、私にとってはなにより明確な意思表示だと信じたうえでの行為なのです。
ちいさなバッジひとつですが、それをはずしたとたん、胸元がスッと軽くなったのは事実です。
考えていた以上にひとつのバッジに重みがあったのです。
それは、私自身がそうでないと思いながらも、いつのまにか、国会議員というステイタスに寄りかかっていたということなのかもしれません。
辞職しない道
「田中角栄元首相は拘置所の中に入っても議員辞職しなかった。鈴木宗男衆議院議員も加藤紘一衆議院議員もしっかり議席を手放さない。
中村喜四郎衆議院議員も藤波孝生衆議院議員も同じ。あなたよりずっと大きな疑惑をかけられている人たちが、のうのうと居座っている。
どうして辻元清美だけ議員辞職することがあるのか」
そういって、議員辞職を思いとどまるよう説得してくださる方もいました。
悩みました。
ほんとうに悩みました。
衆議院議員として踏みとどまって、議員秘書の問題点を洗いざらい国民の前にさらけ出す。
そうして議員秘書給与のありかたから何から、議員秘書システムを根本的に改める。
そういう選択肢もあるのではないだろうか。
それが、ひとつの道。
一方、衆議院議員になるまえから私の活動を支援してくださっていた方々や、地元の大阪10区(高槻市・島本町)の、私を直接選んでいただいた有権者のみなさんからは、
「いますぐ議員辞職することこそが、なにより辻元清美らしい、いさぎよい選択ではないか。市民派衆議院議員としていちばんだいじなことは、こういうときにすっぱりケジメをつけること。それが、鈴木宗男衆議院議員に代表される、自民党の疑惑議員たちとの違いを、有権者に見ていただく最良の手段ではないか」
そういう声が、とても強かったのです。
衆議院議員として留まる選択は、一見わかりにくい。
自分に疑惑をかけられた状態のなかで、釈明をしながら同時に、その議員秘書給与の問題は国会全体の問題であるとして、実態調査と改革案作りを目指す。
手負いのまま闘おうというわけだけれど、
「自分のことがきっちりかたずいてから、他人のことをやれ」
本文P.1〜3より引用
|