風の帰る場所
著者

宮崎駿

出版社
rockin’on
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2002/07/19
ISBN4-86052-007-6
12年間に亘る12万字の決定版インタヴュー集  『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』

12年間に亘る12万字の決定版インタヴュー集
『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』

●『風の帰る場所――ナウシカから千尋までの軌跡』●7月19日発売予定 ●定価:1600円+税 ●ISBN4-86052-007-6
冊 観客動員数2340万人を記録した『千と千尋の神隠し』が発売される7月19日、満を持してロッキング・オンが宮崎駿のインタヴュー集を刊行しました!

『風の谷のナウシカ』映画版のエンディングはどのようにして作られたのか!?
『天空の城ラピュタ』に見える宮崎駿の恋愛観とは!?
『となりのトトロ』で宮崎駿が描きたかった日本とは!?
『魔女の宅急便』は、なぜ『トトロ』の後に作られたのか!?
『紅の豚』で、なぜ宮崎駿自身が主人公になったのか!?
『もののけ姫』で宮崎駿が挑んだ真っ向勝負とは!?
そして、『千と千尋の神隠し』で、なぜ千尋はカオナシと一緒に電車に乗るのか!?
この答えがすべて宮崎駿自身の言葉で語られます。
宮崎駿はどうして子供を祝福する映画を作るに至ったのか!?
その長い道程をすべて追った決定版です。

はじめに

この本に掲載されている最初のインタヴューは十二年前のものだ。
初めてお会いした宮崎さんは噂通りの写真嫌いで、当時、吉祥寺にあったスタジオジブリの社内を追っかけまわしながら撮影したのを覚えている。
この本を作るのに当たって、そのときの写真を改めて見て、時の流れの早さを感じてしまった。
以来、十二年のあいだで五回行なったインタヴューを一冊にまとめたのがこの本である。
そのあいだに『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の
神隠し』という、今さら説明の必要のない傑作群が生み出されていく。
これらのインタヴューは『Cut』『SIGHT』という二誌に掲載されたものだが、掲載時はぺージ数の関係から半分以下の量に短縮せざるを得なかった場合もあった。
今回、単行本化に当たっては、すべてのインタヴューをノーカットで活字化することにした。
読んでいただければおわかりいただけると思うが、宮崎さんの発言の密度は高く、本来カットなどできないものである。
雑誌掲載時は泣く泣く短くしたので、こうした形で単行本化できて本当に嬉しい。
最初のインタヴューは『魔女の宅急便』が公開されてしばらく経ち、『紅の豚』がまだ本格的にスタートしていない、非常に中途半端な時期に行なわれた。
本来取材時期ではなかったのだが、スタジオジブリの鈴木敏夫さんに無理矢理にお願いして実現したインタヴューである。
お願いした理由も、自分が『Cut』という雑誌を創刊するときに、どうしてもその創刊号に宮崎さんのインタヴューを掲載したいからという、かなり勝手なものであった。
OKが出たときは嬉しく、必要以上にはりきってインタヴューに臨んだことを覚えている。
今、そのインタヴューを読み直すと、なんでこんなに喧嘩腰なのか、自分でも呆れるが、それだけ僕も若かったし気負っていたのである。
そして、宮崎さんは、その気負いを受け流すのではなく、正面から
受けとめ、しっかり答えてくださっている。
結局、このスタイルはそのまま十二年間続いていくことになる。
もし、僕のインタヴューになにか存在意義があるとす
るなら、このスタイルなのかもしれない。
宮崎駿は、いまや日本で最も影響力のある表現者に
なってしまった。
その存在が巨大化すればするほど、宮崎駿を語る言葉は縞麗事になり、宮崎駿自身を疎外していく。
ヒューマニズムとエコロジーという、実は宮崎さんとはねじれの位置にある言葉の中にメディアは宮崎作品を押し込めようとする。実は宮崎作品の持つテーマは暗く重い。
子供向けの作品にもかかわらず、いや子供向けの作品であるからこそ、宮崎駿は自分の思想のすべてを懸けて作っている。
口当たりのいい縞麗事だけで捉えるような代物ではないのだ。僕の対立型のインタヴューは、そうした宮崎さんの決して口当たりのよくない思想の在り方を浮き彫りにする上では有効だったかもしれない。
最後に収められているインタヴューも、実は取材時
期ではないにもかかわらず、鈴木さんに無理矢理お願
いして実現したものである。
十二年間でスタジオジブリや宮崎駿を取りまく環境は大きく変わった。
しかし、宮崎さんを筆頭にジブリのスタッフの方の姿勢や立ち位置に変化やブレはまったくない。
それは本当に見事なほどである。
このことは、このインタヴューを読んでいただいても読者の方に十分伝わるだろう。
最後に本書の刊行に御尽力をいただいたスタジオジブリの西岡純一さん、そして表紙での絵の使用を快諾していただいた男鹿和雄さんに感謝致します。
無論、鈴木さんの力がなければ実現できなかった本です。
本当にありがとうございました。

『風の帰る場所』インタヴュアー渋谷陽一

(本文 はじめにより引用)

 

 
 

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