食べるな、危険!
著者

日本子孫基金/著

出版社
講談社
定価
本体価格 1300円+税
第一刷発行
2002/10
ISBN4-06-211378-3
あなたが食べている食品の隠された事実を知っていますか?

■目次
肉類;魚介類;野菜;果物;穀類;加工食品;調味料;飲料;菓子類;健康食品

■要旨

表示の見方・スーパーの選び方・よい食材を手に入れる方法など、危ない時代を生き抜くヒントも満載

豚肉:スーパーで売られている肉の続きに廃棄された病変肉がある
鶏肉:超過密のため薬漬け飼育、抗生物質耐性菌が怖い
ブランド卵:必要のない栄養素を与えてできた工場生産品
養殖魚:狭い生け簀の中で飼われ抗生物質や抗菌剤が投与される
エビ:漂白剤・抗生物質・大腸菌などのオンパレード
ジャガイモ:収穫前に劇物に指定された除草剤がまかれる
カット野菜:水にさらした野菜は、漂白剤で洗浄される
醤油:原料は化学溶剤で油を抽出させた後の脱脂加工大豆
清涼飲料:過剰な糖分をとらされペットボトル症候群(糖尿病)に
お茶:添加物と残留農薬がたっぷり

 


著者紹介 -------------------
■日本子孫基金(にほんしそんききん)
◎日本子孫基金
レモンが店頭から消えた12年前の「日米レモン戦争」、虫が遺伝子操作ジャガイモの葉を食べて死ぬ5年前の「衝撃映像」、環境ホルモンが溶け出していることを指摘した4年前の「カップ麺論争」、これらを仕掛けたのが、日本子孫基金である。
消費者が会費を出して基金を作り、危険な化学物質の調査や検査をしようと、1984年に日本子孫基金は設立された。調査が主体の市民団体は、世界でも数えるほどしかないが、その活動は日本国内ばかりでなく外国でも高く評価されている。事務局長は、消費者・環境NGOにおける代表的存在の小若順一である。

 

まえがき

キュウリを台所で切っているときのことです。
フキンを漂白するために、塩素系漂白剤を入れた洗い桶の中に、そのキュウリを落としてしまったら、あなたはどうしますか。
迷わず捨てるに違いありません。
塩素の嫌な臭いがするし、とても食べる気にならないはずだからです。
ところが、カット野菜や果物はもちろんのこと、魚や卵まで、塩素系漂白剤と同じもので洗っているのです。
漂白剤は、食べ物にはふさわしくないけれど、薄めているはずだから大丈夫だ、と思う方もおられるかもしれません。
しかし、食品業者は、消費者が食べ物を扱う感性で、食品を扱ってはいません。
殺菌が目的ですから、フキンを浸けるより何十倍も濃くしている場合があります。
特にカットフルーツの場合は、殺菌効果を短時間で出すために、濃度を非常に濃くする傾向があるのです。
一方、カット野菜の場合は、野菜の汁を洗い落として腐りにくくするため、浸ける時間を長くしています。もちろん、漂白剤の濃度は薄くしていますが、栄養成分は減っています。
こんな加工が多くの食べ物に行われているとすれば、人体に何らかの影響が出てきて当然と思われるでしょう。
実際、塩素系漂臼剤は、食べ物の成分と化合する時に塩素ガスを出すので、製造時には労働者が危険な目に遭うこともあります。
しかし、あなたが食べるときには毒性の低い物質に変化しているので、急死するようなことはありません。
心配なのは、食品に発ガン物質ができてしまうことで、将来、ガンにかかるリスクが高くなります。
食べ物に使われている毒が、そのまま口に入っているケースもあります。
輸入農産物に、収穫後に用いられているポストハーベスト農薬がそれで、果物をドボンと農薬のプールに浸けたり、小麦の上から殺虫剤を振りかけたりしているのです。
その農薬は、食べるときまでに毒性が消えないので、始末が悪いのです。
この本を読むと、書かれている事実に、何度も衝撃を受けるかもしれません。
しかし、これが、今の食の現実なのです。
知らないでいると、いずれ、あなたや、あなたの子どもや孫たちが被害を受けることになるでしょう。
そして今、もっとも怖いのが、食品に付着している抗生物質の耐性菌です。
耐性菌は、院内感染で大きな問題になっています。
けれども食べ物とは関係ないと思われるかもしれません。
しかし、家畜や魚を飼うとき、生産者は大量の抗生物質を使っています。
そのため、耐性菌が発生し、肉や魚から人に移って、多くの死者が出そうな状況になっているのです。
食の現実の、あまりの深刻さに、驚かれるに違いありません。
耐性菌の研究では、世界トップクラスの研究者である順天堂大学の平松啓一教授に、私たちは何度もお話を伺ってきました。
その情報をもとに、畜産や養殖魚の現状を調査して、どう対応したらいいのかを、本書では新しい視点で提案しております。
レモンが店頭から消えた一二年前の「日米レモン戦争」、虫が遺伝子操作ジャガイモの葉っぱを食べて死んでいく五年前の「衝撃映像」、「カップ麺の容器は、環境ホルモンなど出しません」
と業界が新聞に全面広告を出した四年前の「カップ麺論争」……。
これらは、日本子孫基金が最初にデー夕や映像を出して、食品の有害性を摘発したところからスタートしたものです。
日本子孫基金は、設立してからずっと食品の安全性を追い、検査や調査を行いながら、安全性を向上させるために奮闘してきました。
その一八年間の集積をまとめたのが、本書です。
本書を読んでスーパーに行くと、これまでとは違う食品を選ぶ人が多くなると思います。
特に、食品をブランド名で選んでいる人は、かなり違ったものを選ぶことになるでしょう。
雪印乳業の食中毒事件で明らかになったように、食品のブランドは、消費者にとって意味を持たなくなっているのです。
何の裏づけもない安心感と高級感を与えていただけで、安全でも、品質の良さを表しているわけでもないことが、明らかになってしまったのです。
「いったい何を食べたらいいのか」、というご質問に答えられる本を、私たちは必死になって書き上げました。
安全な食べ物を選んでいたら、支出が二〜三割増えるかもしれません。この支出増は、医者にかかる費用が少なくなる代わりだと考えれば、十分に見合うことでしょう。
みんなが選んでいる食品を少し変えて、おいしくて安全で、今より自然な食品を選ぶようになれば、農業や水産業や食品加工が自然な方向に戻され、耐性菌の原因が断たれて、人間の病気の治療がしやすくなり、環境も少しは良くなります。
そうなれば、みんなが、今より健康になり、人生を豊かにおくれるようになるのです。

日本子孫基金 小若順一

(本文 まえがき より引用)

 

 
 


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