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 安倍晋三物語
著者
山際澄夫/著
出版社
恒文社21
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2003/09
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ISBN 4-7704-1102-2
 
高杉晋作、岸信介、父・晋太郎と続く長州のDNAに期待感沸騰!救国の男の半生を追う迫真のドラマ。
 

本の要約

国難に強い政治家!高杉晋作、岸信介、父・晋太郎と続く長州のDNAに期待感が高まる救国の男・安倍晋三の半生を追う迫真のドラマ!!


[目次]
第1章 群雄割拠−引き継がれた遺産
大統領は「日本を支持する」と語った/日米同盟重視を訴える/次世代ナンバーワンとして/政治家の責任感/国を守る覚悟/疾走する長州/憲法改正をテーブルに

第2章 梁山泊−60年安保の岸家
自宅を取り巻くデモ隊/深夜の首相官邸/巣鴨での決意/冷戦下の岸政治/独立回復と日本再建連盟/保守合同成る

第3章 百代の過客−長州から満州へ
山口県田布施町/旧藩士の家/北一輝の衝撃/東條英機との出会いと決別

第4章 百家争鳴−晋太郎、晋三父子
洋子との結婚/維新の大義継がんは誰ぞ/政治家の妻/忘れられた岸政治/実があるなら今月今宵/昭和天皇と同じ病気/晋三の登場

第5章 不惜身命−「9・17」平壌の苦渋
飛耳長目録/日本人が見た青空/国家の決断/朝日新聞と論争/弱者を叩き、強者にへつらう新聞/北の工作船

第6章 中原の鹿−自主憲法制定
岸と吉田、二つの流れ/奇怪なる憲法成立/保有すれども行使せず/被保護国としての日本/明治憲法の起草/瓶の蓋を取る日

関連資料年表


[著者紹介]山際澄夫(やまぎわ・すみお)
昭和25年山口県下関市生まれ。明治大学卒業。国際ジャーナリスト。産経新聞政治部記者。首相官邸、自民党、野党、外務省記者クラブの各キャップを歴任。テネシー州立大学留学、平成8年〜11年、ニューヨーク支局長、外信部次長などを経て退社。著書に『拉致の海流』、共著に『農業革命』『「退職金日本一」との闘い』など。


オススメな本 内容抜粋

はしがき

私の故郷でもある長州の人と風土のことを考えている。
明治の巨大な政治変革の主導力となった、今は山口県と呼ばれるこの地域は、日本海、瀬戸内海とそれをつなぐ関門海峡に面して交通の要衝にある。
朝鮮半島や大陸からも近く、海を通して情報が流入しやすい環境にあった。
しかも毛利藩は藩経営に巧みで、大規模な塩田の経営や馬関(下関)などを基地とする海上交易もあって、藩は三十六万石というが、実質はそれに数十万石も上乗せした経済力を秘めていたといわれる。
だが、情報力と経済力があったというだけでは、時代を旋回させる起爆力となっていった説明としては十分ではない。
すべては吉田寅次郎(松陰)から始まったのだ、と長州人は思っている。
幕末に活躍した
思想家のなかで、学問の深さでは松陰以上の人物はいるが、人間の生き方、その精神の高潔さにおいて松陰を超える人物はいない、とこれまた長州では信じられている。
松陰は、ものごとに常に純粋であろうとし、至誠の心で人に接した。
今、萩の郊外に行くと松陰が、塾生とともに学んだ松下村塾が保存されている。
質素な二部屋ほどのつくりでしかない。
そこから時代を大きく旋回させることになる高杉晋作や、久坂玄瑞、入江九一、吉田稔麿、品川弥二郎、伊藤博文、山県有朋らの数多の志士が育っていったのである。
時代は切迫していた。阿片戦争で清国が躁欄され、来航したペリーは開港を迫ってきた。
しかし、幕府は長い眠りの中にあった。
彼らの志は、列強のアジア進出から日本民族の尊厳と独立を守ることであった。
そのために構想されたのが「尊王撰夷」であった。
撰夷とは単なる洋夷排撃論ではない。撰夷の気概をもって列強にあたるということである。
帝国主義の時代にあって、自ら撰夷の気概をもたない民族を誰が敬意をもって接するだろうか。独立を獲得するために彼らは、一命を惜しまず潭身の力をふるって時代に躍動したのである。
民族の独立と尊厳を守るという松陰らのこの思想と情熱は、これから書き出そうとしている物語の主人公である安倍晋三と、その祖父の岸信介にも濃厚である。
曾祖父が村塾の志士と交流があったことを終生の誇りとした岸は、戦前、若くして満州国のトップ官僚、さらには大東亜戦争の戦時閣僚として戦争遂行に適進したが、戦争継続で日本が危殆に瀕すると悟ってからは、一転、倒閣に走った。
戦後は、戦後体制の脱却を旗印に吉田茂の政治に反旗を翻して保守合同の推進役となり、岸内閣で日米安保条約の改定を実現する。
経済政策や、年金制度などの福祉政策も含めて、「岸内閣によって日本の戦後政治の方向性は確定した」といっても決して過言ではないだろう。
戦前、戦争遂行に反旗を翻すなど、生半可なことで出来るわけがない。
この男のすごさもまた、長州の血脈と無縁ではなかろう。
ただ、惜しむらくは岸の政治もまた、未完であった。最大の目標であった憲法の改正が果たせなかったからである。
憲法改正、すなわち自主憲法の制定こそが、占領軍によって精神の武装解除をされた日本が真に独立する時だ、というのが岸の変わらぬ信念だった。
岸が学生時代からその将来を嘱望され、戦前、戦中、戦後と並外れた能力を示してきたのとは異なるが、安倍晋三は突然のようにこの国の政局に現われ出て、今や日本にとって戦後最大の危機である北朝鮮に対する国の政策全体を統括するまでになっている。

(本文P. 7〜9より引用)

 

 

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