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 グミ・チョコレート・パイン パイン編
著者
大槻ケンヂ/〔著〕  江口 寿史/イラスト
出版社
角川書店
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2003/11
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ISBN 4-04-873498-9
 
「俺らダメなことねーって、俺ら全然ダメじゃネーって・・・・・」」青春モンモン 80's
 

本の要約

冴えない日々をおくる高校生、大橋賢三。学校を中退し、女優への道を着々と歩み始めた山口美甘子に少しでも追いつこうと、友人のカワボンらとバンドを結成したが・・・。永遠の青春物語!



オススメな本 内容抜粋

プロローグ

六月。
ゆっくりと夏が近づいていた。エルニーニョの影響で、る。
その夜、すでに空気は熱気をおび始めていた。
あまつさえ、彼らは皆、十七歳だった。

今年はことさらに猛暑が予想されてい新人女優山口美甘子は、男の肉体の上で悦惚の状態にあった。
主演映画の相手役である羽村一政の部屋、そのシングルベッドで、あおむけになった彼の体の上に、美甘子は馬乗りとなって覆いかぶさり、そうしてもう一時間近くも、キスという行為の快感に時を忘れていたのだ。
最初は唇を触れ合うだけであったのが、やがて密接に重なり合った。
そして羽村の方から半ば強引に舌を入れて来た。
ところがいつの間にか倒れこんだベッドの上で主導権を握っていたのは少女の方であった。
体を入れ替え、跨り、ただとろけるような快感のままに、少女は舌を絡めることを止めようとはしなかった。
「おい、もーいーだろ、重いよ美甘子」
羽村の言葉で美甘子はハッと我に返った。
「キャー!なんで私、上に乗っかってるわけ」
驚いた声をあげてアハハと笑った。
笑うと目がなくなってしまう。
胸元ははだけ、つんと上を向いた豊かな乳房が羽村の体の上でこぼれるように揺れた。
羽村は無造作に、乳房を彼女のシャツごしに片手で握ると、あいた腕を使ってスルリと美甘子と体を入れ替え上になった。
「キスって気持ちいいだろ」
「って言うか羽村君、慣れてる」
「認めろよ、気持ちよかったろ」
「うん、すごく気持ちよくて美甘子は驚いてるとこ。小説でも映画でもわかんないね、この熱さとか、やわらかさとか、伝わってくる鼓動のリズムとか」
羽村がおもむろにTシャツを脱ぎ捨てポンと後ろに放った。
ロケで焼けた肌にうっすらと汗の玉が浮かび上がっている。
「……羽村君、あたしたち、するの?」
「しないのかよ」
「でもまだハ時前だよ」
「時間じゃねーだろ」
「そうだけど、山口、初めてっていうか……」
「俺じゃ嫌かよ」
「嫌じゃない。不思議と嫌じゃないと思ってる」
「じゃ、やろーぜ」
「やるって、やっぱそれ、セツクスのことだよね?」
羽村は黙って美甘子のシャツをたくしあげた。
このまま彼女がバンザイのポーズを取れば服は脱がされ羽村の提案を黙認することとなる。
『セックス〜あたしが男のコとセックスをするわけ?これから?今?』美甘子の思考は迷走を始め、果たしてバンザイのポーズを形づくるべきなのか否か、ロケが休みの度に訪れている異性の部屋の、シングルベッドの上で、大きな瞳を白黒させながら考えあぐねたのであった。
その夜同時刻、コクボ電気店の二階では、三人の少年たちが熱く議論を戦わせていた。
議題はこうだ。
「オナニーを発電に利用できぬものか?」
そしてまた、
「利用可能であったとして、その場合のズリネタは誰がベストなのか?」
二点の大いなる命題について、必要あらば夜明けを見るまで討論する覚悟であった。
夏休みも近づいている。都立黒所高校の退屈な生活から一時解放される喜びと、大量に買い込んでおいたビールやタコハイの酩酊が三人をバカ・ディベートヘと導いていたのだ。部屋にはガンガンにレコードが流れている。ザ・スターリン。パンクサウンドに乗せて小久保多久夫は熱弁をふるうのであった。

(本文P. 7〜9より引用)

 

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