自らの音楽活動(特撮やソロ)、最近観た映画(つまらない映画論)、最近読んだ本 (についてダラダラと)、人物論(中島らもなどのアウトロー系)、プチ・エロ話(実体験?)などなど。 不思議なタイトルですが、意外と爆笑、実はちょっぴり切ない恋愛論から人物論までオーケン流のほほんエッセイ集です!! カバーイラストは大人気漫画「ハチミツとクローバー」の羽海野チカ氏
まず自己紹介をすべきだろう。大槻ケンヂという。 ’02現在36歳独身。 妻も子も隠し子もいない。 いやもしかしたらどっかにいるのかもしれんが、今のところは未確認である…確認したくないもんである。 仕事は自分でもよくわからなくなるくらいいろいろやっている。 昔は俳優をかじったりもした。 初主演作はなんと忍者役。思い出してもバカな映画であった。 なにしろ衣装の忍者服をもらったところ、胸にデカデカ「忍者」と刺繍が入っていたのだ。 忍者がまず自己紹介してどうする!撮影後、役者は廃業した。 本も書いている。 エッセイ集は15〜16冊、原作漫画が4冊、小説は6冊でその内の『ステーシー少女ゾンビ再殺談』という長編は昨年映画化された。 念願の原作映画化である。 喜び一杯で試写場へ行ったところ、監督が私の手を握りしめ開口一番こう言ったのであった。 「いや危なかったです。先日まで警察につかまってたんですよ、俺」 いろいろ事情があったらしいのだが。 映画よりも監督の存在の方が面白いという珍しい作品になってしまった。驚いた。 本業はミュージシャンなのである。 とは言っても楽譜も楽器も苦手だ。 曲を作る時は楽器のできる人に曲調を"説明"する。 「まず荒野を想像してくれ。すると馬に乗った少年が駆けてくる、そう、そこでサビ!」 などと身ぶり手ぶりで語って聞かせると1曲できてしまうのだから、まったく気楽なミュージシャンもいたものだ。 って、むしろサギ師の手口に近い気もするなそれ。 ジャンルはロックだ。 ロックミュージシャンなのだ。 デビューして’02現在15年目。 以前は「筋肉少女帯」というバンドをやっていた。 『元祖高木ブー伝説』なんて曲も歌っていた。 恋愛の終焉を高木ブーさんの芸風に絡めたパンクロックだ。 実は危うく発売中止になるところであった。 各方面から曲にクレームがついたのだ。 トラブルにバンドは解散の危機。 そんな時、救いの手をさしのべてくれたのが他ならぬ当の高木ブーさんであった。 「若いやつらがバカなことやってがんばってるんだからさ、笑って許してあげようよ」 鶴の一声で逆転発売OKとなり、結局オリコンのベスト3に入るヒット曲となった。 現在は「特撮」というラウドなバンドをやっている。 皆さん一度観に来てください。怖一くないよ。 …と、紹介すればこんなところであろうか。 次にこの奇妙なエッセイのタイトルの意味を説明するならば…実はあんまり意味なくつけた。 私の楽曲の中から適当に選んだのだが、なんだか育児エッセイみたいな題で失敗したな〜、と今さら反省しているところである。 慣れるよ。 当初は「池田独身貴族」というタイトルにする予定だったのだ。 池田貴族と独身貴族を合体させた言葉遊び。 池田貴族って皆さんわかりますか? 90年代初めにデビューしたリモートというバンドのボーカリストで、その後テレビで活躍していた人物。 活動と芸風(?)が微妙に絡むことから、私と彼とは友人でありかつライバルの関係にあったのだ。 池田貴族はその後ガンを患い長期入院を余儀なくされた。 退院したその夜、私は彼と食事に行った。 居酒屋。 痩せさらばえた貴族氏は酒など飲めるはずもない。 それでもとても楽しそうにしていた。 店の隅には女の子の客が数名こちらをチラチラ見ている。 これがもう牛丼太郎よりも簡単にお持ち帰りOK!といったグルーピーなネーちゃんで、オイラもヤングだったからさらっちまおうかと一瞬思ったものの、やっぱり難病の友を前にナンパはできねーよなーとあきらめた。 貴族氏のガンは進行していった。 何度目かの入院の時にお見舞いに行くと、骨と皮のようになった彼はプリンを冷蔵庫から出してくれた。 夕暮れ時の病院はガランとして、その静けさの中で私と彼は男同士黙々とプリンを食べたのだ。
(本文P. 8〜10より引用)
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