3月15日放送された『サイエンスミステリー それは運命か奇跡か!? DNAが解き明かす人間の真実と愛』は、非常に高視聴率の17.3%の番組でした。
なかでも、普通の10倍のスピードで老化していく病に冒された少女アシュリーが、過酷な運命を受け入れ力強く生きる姿に、全国から感動の声が多数寄せられました。
先の放送では紹介できなかった部分を加えてお届けする感動ドキュメンタリーが
ザ・ノンフィクション
『短い命を刻む少女 〜アシュリーの生き方〜』
2004年4月13日(日)午後2時〜2時55分 が放映されました。
◇番組内容
■平均寿命13歳
カナダ・アルバータ州に住んでいるアシュリー・ヘギちゃん(11歳)は、母・ロリーさん(29歳)と二人暮らし。アシュリーは生後9ヵ月の時、800万人に一人の割合で生まれるプロジェリアという病気との診断を受けた。プロジェリアは、普通の10倍近いスピードで老化していく病気で、11歳のアシュリーの肉体年令は100歳に近い。患者の平均寿命13歳・・・。
■治療法のない難病
現在プロジェリアの治療法はない。原因は受胎時に精子もしくは卵子に起こる遺伝子の突然変異と考えられているが、どの部分が変異を起こしているのか原因遺伝子の特定はなされていない。急速に進む遺伝子研究の成果を受けて、第一染色体の長腕部のどこかに原因遺伝子がありそうなことがわかってきている。プロジェリアは人種や性別に影響を受けず、可能性は低いながらも誰にでも起こりうる病気。日本の患者数に関する公式のデータはないが、過去に数例の症例報告がある。今、プロジェリアの患者は世界でわずか30人。新しい命が誕生するほんの一瞬に起きるわずかな遺伝子のトラブルが、その命の寿命さえも左右する。
■母親の苦悩
日に日に年老いていく我が子の姿を前に、「自分より先に死ぬ娘と一緒にいるのが恐かった・・・」という母・ロリーさん。夫はアシュリーが1歳のときに家を出て行った。アシュリーを産んだのはロリーが17歳のとき。若い両親にとって、プロジェリアの子どもと向き合うことはあまりにも辛い現実だった。ロリーはキックボクシングのインストラクターとしてわずかな収入を得ながら、たったひとりでアシュリーを育ててきた。ロリーの母親ジョアンさんはこう語る。「ロリーは強い母親になった。アシュリーがいたから、ロリーは成長した」と。
■アシュリーの夢
アシュリーは、毎日を前向きに生きてきた。動物が大好きな彼女の将来の夢は獣医さん。現在、近くの動物病院で仕事の手伝いをしている。クリスマスの聖歌隊にも初めて立候補したアシュリー。
ある日、アシュリーが大事に飼っていた虫が死にそうになる。誰よりも命の大切さに敏感な彼女は、懸命に看病するが死んでしまう。
そして寒い朝、アシュリーは胸の痛みを訴え、ベッドから起き上がることが出来ない。プロジェリアの患者は、ほとんどが老化によって生じる心臓病で命を落とす。しかし、アシュリーの口に酸素吸入器を当てるロリーは意外にも冷静だ。そこには悲しみを乗り越え、死と隣り合わせの日常と向き合う母の強さが感じられる。
■生きる勇気
そしてクリスマス・・・。
聖歌を元気に唄う娘・アシュリーの姿に、母・ロリーは何を思うのだろう。アシュリーの遺伝子が残ることはないかもしれない・・・。しかし、どこまでも前向きに生きようとするアシュリーの勇気は、多くの人の心の中で生き続けるに違いない。
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