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 1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記
著者
幻冬舎文庫
出版社
木藤亜也/〔著〕
定価
税込価格 560円
第一刷発行
2005/02
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ISBN 4-344-40610-9
 
感情豊かで泣き虫の14歳の亜矢を、突如恐ろしい病が襲う。病に蝕まれながらも自分を励ますため、手が動かなくなるそのときまで、亜矢は日記を書き続けた。映画化された感動の名作が、ついに文庫化!
 

本の要約

「神様、病気はどうして私を選んだの?」恐ろしい病魔が15歳の少女亜也の青春を奪う。友達との別れ、車椅子の生活、数々の苦難が襲いかかる中、日記を書き続けることだけが亜也の生きる支えだった。「たとえどんな小さく弱い力でも私は誰かの役に立ちたい」最期まで前向きに生き抜いた少女の言葉が綴られた感動のロングセラー、ついに文庫化。



オススメな本 内容抜粋

メリーが死んだ

今日はわたしの誕生日。ずいぶん大きくなった。
父と母に感謝しなくてはいけないと思う。
もっともっと、いい成績をとって、丈夫になって、悲しい思いをさせないようにす
るんだ。そのためにも、この青春の始まりを、悔いのないように大切にしたい。
あさってからキャンプに行く。がんばって勉強をやっちゃわにゃ安心して行けない
もん。
フレー、フレー、亜也ちゃん。
メリーが、隣の猛犬タイガーに首をくい破られて死んだ。
体の小さなメリーが、大きいタイガーに親しみの情をこめて、短いシッポをピンピ
ンふって近づいて行った。
「メリー、だめっ!こっちへおいで」と必死に叫んだのに……。
何も言えずに死んじゃったメリー、悔しかっただろう。
犬に生まれてこなきゃあこ
んなに早く死ななかったろうに。
メリー、どこかで幸せになって!
新居完成。二階の東側の広い部屋が、わたしと妹の城。天井は白。壁は茶色の化粧
板。窓から見る外の景色が、いつもと違うように見える。自分の部屋があることはう
れしいけど、広くてさみしい感じもする。こんばん眠れるかな。
新しい気分で出発!
一 服装は、Tシャツとズボン(活動しやすいから)。
二 日課としてやることー庭の水まき。草とり。一本だけ植えておいたトマトの
葉の裏に、虫がいないかを見る。菊の葉のあぶらむしも見る。いたらすぐに退治
する。
三 勉強をおろそかにしないこと。
四 その他、毎日のできごとを日記にきちんとつける。
以上、申しつける。

わたしの家族

父 四十一歳。ちょっぴり気性が激しいけど、優しい。
母 四十歳。尊敬しているが、ピシャッと急所をつくのでこわい。
私 十四歳。思春期の始まり。難しい年ごろ。一言で言えば、泣き虫。感情のかた
まり人間。単純ですぐ怒り、すぐ笑う。
妹 十二歳。この妹には、勉強でも性格でもライバル意識を持っている。と言って
もこのごろはやや押され気味。
弟 十一歳。これがくせ者。こわいんだよなあ。弟のくせして時には兄貴に化ける。
コロ(犬)の育ての親でもある。
弟 十歳。想像力豊かであるが、軽はずみなところあり。
妹 二歳。母ゆずりのちぢれ毛と、父ゆずりの顔(特に目、八時二十分)。とても可愛い。

15歳 ─ 忍び寄る病魔

兆しこのごろ何だかやせてきた。
山ほどある宿題や自由研究で、食事を抜きにしたせいかな?
思っても実行できなくて悩む。自分を責めながらもはかどらない。エネルギーが消
耗するばかり。もう少し太りたいなあ。
明日からは、計画表をむだにしないように行動しよう。
雨がしとしと降っている。重いカバンと手さげ、おまけに傘を差しての登校はきらい。
やだなあ、と思ったとたん、家から百メートルくらい先の小石の敷いてある細い道
で、突然ひざがガクッとなってずっこけた。
あごをひどくぶった。そっとさわってみると、ベトッと血がついた。散らかったカ
バンや傘を拾って、まわれ右して家へ帰った。
奥の方から母が、
「忘れ物したの?早く行かんと遅刻するよ」
と言いながら、玄関まで出てきた。
「どうしたの?」
でも泣くだけで何も言えない。
母は、血だらけの顔を手早くタオルでふいてくれた。割れた傷口に砂がくいこんで
いた。
「これは医者へ行かにゃあいかんわ」
と言って急いで濡れた服を着替えさせてくれ、傷口にピタッと絆創膏をあて、車に
とび乗った。
麻酔もかけず、二針縫う。自分がドジだから、痛くても歯をくいしばって我慢した。
それより、急に仕事を休ませてしまったお母さん、ごめんなさい。
運動神経が鈍いから手が前にでなかったのかと、痛むあごを鏡で見ながら思った。
でも、あごの裏でよかった。まだ嫁入り前の女の子だから、見えるところに傷が残
ったらお先まっくら。


(本文P. 10〜15より引用)

 

「1リットルの涙」ドラマ化

15歳で原因不明の難病になり、25歳の若さで亡くなった木藤亜也さんの手記をドラマ化。
難病を発病した彼女を支える人たちとの、愛にあふれた日々を描くヒューマンドラマです。

《ドラマ放映》
10月11日よりフジテレビ系にて放映 
出演:沢尻エリカ・薬師丸ひろ子ほか

◇「1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記」
  木藤亜也著・定価560円(533円) ISBN4−344−40610−9 
◇ 「いのちのハードル『1リットルの涙』母の手記」 
  木藤潮香著・定価560円(533円)
   ISBN4−344−40611−7    2冊とも幻冬舎文庫より発売中 


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