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 光
著者
北野武/著
出版社
ロッキング・オン
定価
税込価格 1575円
第一刷発行
2005/11
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ISBN 4-86052-053-X
 
「演技」「音楽」「職人」「世代」そして現在と未来。武がたけしであるための、たけしが武であるための拠所を語り尽くす、ベストセラーひとり語りシリーズ、第5弾!北野武は、もう死なない―。
 

本の要約

北野武は、もう死なない
ベストセラー・ひとり語り・シリーズ第5弾 『光』
絶賛発売中!!

『余生』『孤独』『時効』『異形』――北野武がSIGHTの連載だけにしか語らなかった言葉、そして見せなかった表情を多数収録した大好評の自叙伝シリーズ、待望の第5弾が登場です。その名も――『光』。映画『血と骨』で新たに開眼した役者・たけしのポテンシャルを語った「北野武、演技を語る」。ミュージシャンとしての活動から北野映画における音楽の意味までを語った「北野武、音楽を語る」。バラエティ職人・ビートたけしの本音から職人の原体験である父・菊次郎の逸話までを吐露した「北野武、職人を語る」。そして、自らが背負い、また翻弄された団塊の世代について語る「北野武、世代を語る」などなど、あらゆる角度から映画監督としての、役者としての、そして人間としての北野武に迫るファンならずとも必読の内容になっております。もちろん上記内容に加え、この単行本でしか読めない語り下ろしのエピソードも収録。毎回、本シリーズをお読みいただいている方はもちろんのこと、これから北野武の真髄に触れたいと思っている方にも本書は絶好の指南書です。



オススメな本 内容抜粋

高評価だった『血と骨』での演技


『血と骨』の演技は、言われた通りだからね。崔(洋一)さんがやってくれっていうや
つをそのまんま、なるたけ忠実にやろうとしただけで。オッケー出すか出さないかは監
督だから。
娘の葬式に殴り込んで、脳梗塞で足が動かなくなって「ああ、動けへん!」って言う
とこ、あったじゃない?ああいうのをやってて、役者さんてのは、あんな風な芝居をや
りたい人たちなんだ、と思ったの。そういうの俺、全然今まで「何を大袈裟な芝居しや
がって」とか、いろいろ思ってたんだけど、「あ、これやりたいんだな」って。
だから自分もね、ああいう芝居をしてもいい歳になったんだよ。ああいう芝居を、十
五年前ぐらいにやってたら、「くせえ」って言われたんだよね。要するに、若手の「演技
が上手い」っていうやつ?その裏で、「くさいよ、あいつ」ってあるじゃない。そうい
う感じになっちゃうなとは思ってた。だから、今ぐらいならああいうのできるなあって
いうか。歳取ったら。

 


初めての演技


最初に演技したのは……学芸会、主役だったよ。一回だけ。俺、小学校二年生ぐらい
だったんじゃねえかなあ。なんか、ウサギにエサやってたのかな(笑)。なんか、実は心
やさしいいい少年だったっていう話だよ。あんまりよく憶えてねえけど、主役には間違
いねえ。
先生が俺のこと大好きで、「たけしが主役だ」とか言って。俺、全然言うこと聞かない
し。「ヤだ俺、そんなの!」とか言ってたんだけど、「とにかく台詞をしゃべれ!」とか
怒られて、やることになっちゃったんだ。もうほとんど猿回し状態でさ。先生睨んでる
し、やんなきゃいけないから、ただやってただけで(笑)。何やってたのかよくわかんな
いな。
……俺は、注目されんのがヤだったからねえ。ものすごいアガリ性だし。だから、イ
ヤでしょうがなかったね。でもね、なんかすごい麻薬的なんだよね、芸がないし何もな
いんだけれども、人前に出て何かやることは、意外に好きなんじゃないかなと思う瞬間
があんだよね。でもやる芸がないし、何をしゃべっていいかわかんない時に、一気にそ
の倍、顔が赤くなったりアガってしまうんだよね。
だから「僕はしゃべるとか、人前でやる芸が何もないんですよ。それで、ハナからや
りたくないし」っていう奴は、意外にアガらずに、淡々としゃべれるんだよね。間抜け
な町内会長みたいに、時間わかんねえでいつまでもしゃべってる(笑)。お経のようにし
ゃべる奴いるじゃない?だけど変な色気があって、何もない奴が一番アガんじゃねえ
かなあ。
だから、アガってたってことは、もしかしたら演技が好きだったのかもしれないね。
ただ、それっきりだね。人前でなんかやるってことは、大学までなんにもねえ。役者
も、興味なかったし。子供ん時は、もう映画とかテレビとか観て、そのまんま入っちゃ
ってんだから。『私は貝になりたい』観て、そのまんま「かわいそうな人だな」と思って
んだから(笑)。「ああ、フランキー堺さんは、貝になりたいんだ」って。「でもこの人、
昔はジャズマンで今金持ってて、結構女遊びしてんだな」なんて思わないわけだから(笑)。


(本文P. 14〜16より引用)



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