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 ハル、ハル、ハル
著者
古川日出男/著
出版社
河出書房新社
定価
税込価格 1,470円
第一刷発行
2007/07
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ISBN 978-4-309-01828-7

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この物語は全ての物語の続編だ。暴走する世界、疾走する少年と少女。3人のハルよ、世界を乗っ取れ! 乱暴で純粋な人間たちの圧倒的な現在を描いた、古川日出男の最高傑作。
 

本の要約

母に捨てられ、残された10万円で幼い弟とサバイバルを続ける少年、晴臣・13歳。
家庭に蝕まれ、日常的に家出を繰り返す少女、三葉瑠・16歳。
リストラされて鬱になり、妻も家を出ていったタクシー運転手、原田悟・41歳。

交錯する3人のハルの運命。
そして一挺の拳銃を軸に、新たな物語が動き始める……。

古川日出男/著

1966年、福島県生まれ。 1998年『13』で作家としてデビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞、第23回日本SF大賞をダブル受賞。2005年『ベルカ、吠えないのか?』が第133回直木賞候補に。2006年『LOVE』で第19回三島由紀夫賞受賞。他著書に『サウンドトラック』『gift』『ロックンロール七部作』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ルート350』などがある。

古川日出男公式サイト
『ハル、ハル、ハル』刊行記念特設サイト


2007年7月11日 古川先生にご来店いただきました。
なんと、本日、先生のお誕生日でした! おめでとうございますッ!


 サイン本の販売は店売りのみとなります。
  通販で販売いたしません。


店内の在庫すべてにサインをしていただきました。
サイン本は本日から販売開始デ〜ス。図々しく、色紙もおねだりしましたが、これもご快諾。ありがとうございます。

 


オススメな本 内容抜粋

 この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。ノワールでもいい。家族小説でも
いい。ただただ疾走しているロード・ノベルでも。いいか。もしも物語がこの現実って
やつを映し出すとしたら。かりにそうだとしたら。そこには種別なんてないんだよ。
  暴力はそこにある。
  家族はそこにいる。
  きみは永遠にはそこには停まれない。
  了解したか?これはただの前口上だ。きみが読んできた全部の物語の続編をここに
記しはじめるためのイントロダクションだ。ここから語りはじめるための。登場人物は
三人いる。年少のほうから順に紹介する。十三歳。男。十六歳。女。四十一歳。男。
それらが順に登場する。
藤村晴臣は十月二日に生まれた。十三年と少し前に。だから十三歳になる。そして八
歳の弟がいる。カウントダウンは三カ月前から始めている。あと9。あと8。あと7。
「お腹が空いたね」と弟が言う。
「ファミレス行こう」と晴臣は言う。
「何食べてもいいの?」と弟は言う。
「何でも」と晴臣が言う。「でも、絶対、残すな」
あと6。あと5。
「ねえお兄ちゃん?」と弟が言う。「またファミレスで、タンドリーチキン、食べてい
い?」
「だめだ」と晴臣は言う。「マクドにする。これからは節約にする」
「セツヤク?」と弟は言う。
「ごめんな。我慢しろ」と晴臣が言う。「そのかわり、このケータイやるから」
「これ僕のケータイ?」
「遊べ。でも電話には出るな。ゲームは好きにやれ。写真も撮れ」
あと4。
「ねえ」と弟が言う。
「どうした?」と晴臣は言う。
「僕臭い?」と弟は言う。
「ああ?」と晴臣が言う。
「みんなが僕を臭いって」
「服が?洗濯、してるだろ」
「してる。うん。してる」
「な?」
「うん。お兄ちゃんといっしょにコインランドリーで」
「家の洗濯機の使いかた、おれ、わかんねえんだ。だから……。だよな?おれたち、
ちゃんと洗濯してるよな?」
「でも、ガッコのみんながね」
「臭いって?」
「言うよ」
「シカトしろ。全員」
あと3。
「僕ね」と弟が言う。
「このポテト、お前にやるから」と晴臣は言う。
「またファミレス、行けないかな」と弟は言う。

(本文P. 5〜7より引用)

 

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