Who Moved My Cheese?
 
チーズはどこへ消えた?
 
 
  この物語があなたの人生を変える! 人間関係、恋愛、結婚、仕事、友人、家族・・・この一冊が、世界中の読者の生き方を変えています。  
著者
スペンサー・ジョンソン
出版社
扶桑社
定価
本体価格 838円+税
ISBN4−594−03019−X

友人ケネス・ブランチヤード博士に捧ぐ

彼がこの物語は素晴らしいと熱心にすすめてくれたおかげ

でこの本を書きあげることができたうえ、

そのお力添えで多くの人々に読んでいただくことができました。

 

ネズミでも人間の場合でも、非常によくできた目論見がはずれることがしばしばある

ロバート・バーンズ(一七五九−一七九六年)

 

人生は、自由に何のじゃまものもなく歩めるような、

まっすぐで楽な廊下ではなく、

通る者にとっては迷路で、

自分で道をみつげねばならず、

道に迷い、わけがわからなくなり、ときには

袋小路につきあたることもある。

 

しかし、信念があれば、

かならずや道は開ける。

思っていたような道ではないかもしれないが、

やがてはよかったとわかる道が。

A・J・クローニン

 

 

私たちみんなが持っているもの・・・・・・・単純さと複雑さ

この物語に登場するのは、

二匹のネズミ、「スニッフ」と「スカリー」と

二人の小人、「ヘム」と「ホー」。

この二匹と二人は、私たちの中にある単純さと複雑さを象徴している。

 

私たちは、

スニッフのように、いち早くチャンスをかぎつけることもあるし、

スカリーのように、すぐさま行動を起こすこともあるし、

ヘムのように、いっそうまずいことになりやしないかと怯えて、

変化を認めず、変化にさからうこともあるし、

ホーのように、もっといいことがあるに違いないと、

うまく変化の波に乗ろうとすることもある。

どのような行動をとろうと、

私たちみんなに共通していることがある。

迷路の中で、自分の道をみつけ、

時代の変化の中で、望みを成就せねばならないということだ。

 

ケネス.ブランチヤード博士による裏話

この『チーズはどこへ消えた?』の裏話を書きながら、私はいま胸おどる思いをしている。本書がようやく形になろうとしているからで、これは、誰もが楽しく読めて、人にも話したくなるような本なのだ。スペンサー・ジョンソンからこのすばらしい「チーズ」の話を聞いたのは、もう何年も前、彼と共著で『一分間マネジャー』を書く前のことだ。以来、私はずっと本ができるのを待ち望んでいた。そのときから、これはすばらしい話で、私自身、大いにためになるに違いないと思っていたのだ。『チーズはどこへ消えた?』は、ある迷路で起こった出来事をめぐる物語で、登場人物は「チーズ」を探しもとめる二匹と二人。このチーズは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族や恋人、お金、大きな家、自由、健康、人に認められること、心の平安、さらにはジョギングやゴルフでもいいのだが、そういうものを象徴している。私たちはみな、自分にとってのチーズを、心にいだいており、それが手に入れば幸せになれると信じて追いもとめる。手に入るとそれに執着し、なくしたり奪われたりすると大きなショックを受けかねない。また、「迷路」は、チーズを追いもとめる場所を表しており、会社や地域社会かもしれないし、家庭かもしれない。このチーズの物語は世界中で読まれるだろうし、のちのち人々に大きな影響を与えたことがわかるだろう。

あなたが信じようと信じまいと、このささやかな物語には仕事や結婚生活、暮らしを守る力があるのだ!事実、そのいい例がNBCテレビの人気キャスター、チャーリー・ジョーンズの場合で、彼自身、『チーズはどこへ消えた?』の物語を耳にしたおかげで職を失わずにすんだ、と告白している。キャスターという仕事は特殊だが、彼が得た教訓は誰にでもあてはまるものである。それはこういうことだ。チャーリーは仕事熱心で、オリンピックで陸上競技の放送をするという重要な仕事もやっていたから、上司から次のオリンピックでは陸上競技という花形競技から、水泳と飛び込み競技の担当に変えると告げられたときは、驚き、動揺した。水泳や飛び込み競技のことをよく知らなかった彼は、悩んだ。自分が評価されていないように感じて、腹も立った。なんでこんな扱いを受けなくちゃならないんだ!その怒りはすることなすことすべてに影を落とした。そんなとき、この物語を聞いたのだ。彼は悩んでいたことがばかばかしくなり、気持ちも変わった。まさに上司に「自分のチーズをもっていかれた」ということなのだ、と悟ったのだ。

彼は気を取りなおすと、水泳と飛び込み競技について勉強し、そのうち新しいことに取り組んでいると若々しい気分でいられるとわかった。まもなく上司もチャーリーの変わりようと精力的な仕事ぶりに気づき、やがてもっといい仕事を任せてくれた。その後いっそうの成功をおさめ、のちにプロフットボールの栄誉殿堂入り一放送関係者部門)を果たしたのである。これはほんの一例で、ほかにもこの物語が仕事から愛情生活まで人々にさまざまな影響を与えたという話を数多く聞いている。私は『チーズはどこへ消えた?』の物語がもつ力を確信しているので、最近、まだ本になる前の原稿をコピーして、わが社の社員全員(二百人以上)に配った。なぜか?将来に生き残るだけでなく競争力を維持したいと考える企業なら当然のことだが、わがケン・ブランチヤード・カンパニーズもたえまなく変化しているからである。私たちの「チーズ」はつねにどこかへもっていかれ、消えている。これまでは忠実な社員がいればよかったかもしれないが、いまは「従来の物事のやり方」に固執しない柔軟な人材が必要なのだ。

それに、当然ながら、仕事や生活でたえまない変化の波にさらされて生きていると、ストレスが多い。だが、変化をどうとらえ理解すればいいか、その方法を会得していれば話は別だ。このチーズの物語を読んでみるといい。私は部下たちにこの物語を教えたが、読んでみた人のほとんどが、悲観的な見方をしそうになっていたのが変わったという。あらゆる部署の人たちが次々と私のところに来て、あの本を教えてもらってよかった、おかげでわが社で起きている変化を新たな目で見ることができるようになった、と言った。この短い寓話は簡単に読めるが、その影響は甚大である。ぺ−ジをくりてみればわかるが、本書は三つの部分からなっている。最初は「ある集まり」の場面で、かつてクラスメートだった人たちがクラス会で、それぞれ自分の生活に起きた変化をどう受けとめているか話している。二番めは「チーズはどこへ消えた?」の物語で、本書の中心部分。物語では、ネズミたちは単純な物の見方をするために変化に直面したときうまく対処しているが、小人たちのほうは複雑な頭脳と人間らしい感情のために物事を複雑にしていることがわかるだろう。

これはネズミのほうが利口だということではない。もちろん人間のほうが頭がいいにきまっている。だが、二匹と二人のすることを見、ネスミも人間も私たち自身がもっている面単純さと複雑さ一を象徴していることに気づけば、物事が変化しているときは単純なやり方をしたほうがいいということがわかるだろう。三番めは「ディスカッション」の場面で、クラスメートたちがこの物語をどう読んだか、自分の仕事や生活にそれをどう生かすかを話し合っている。わが社の社員の中には、物語のところまで読んで、自分なりにその意味を解釈したという者もいれば、最後のディスカッションの場面まで読み、物語から得た教訓を自分の状況にどう応用すればいいか、そのヒントにしたという者もいた。いずれにせよ、私もそうだが、本書を繰り返し読んでほしい。そのたびに新しくかつ有益なものを見いだすはずだし、それによって変化に対応し、どのようなものであれ自分にとっての成功をおさめてほしいと思う。みなさんが楽しみながら何かを見いだしてほしいと思うし、うまくいくよう願っている。覚えておいてほしい、チーズと一緒に前進することを!

ケネス・ブランチヤード

 

一九九八年、サンディエゴにて

シカゴのある晴れた日曜日、かつてクラスメートだった人たち数人が昼食に集まっていた。前夜、高校のクラス会に出た面々なのだが、お互いの暮らしぶりをもっと聞きたいということになったのだ。さんざん軽口を言い合い、おいしい食事をとったあと、興味深い話し合いになった。クラスの人気者だったアンジェラが言った。「人生って、高校のとき思っていたようにはいかないものね。まったく違うものになってしまって」「確かにね」ネイサンも言った。彼が家業を継ぎ、事業は順調でずっと地域社会を担ってきたことを知っていたので、彼の気づかわしげな様子にみんなは驚いた。彼は言った。「だけど、状況は変化しているのに自分は変わろうとしていないのかもしれないな。そう思ったことはない?」

 

ある集まりシカゴで

カーロスが言った。「変わろうとしないのは、変わるのが怖いからじゃないかな」「カーロス、あなたはフットボール・チームのキャプテンだったのよ」ジェシカが言った。「怖いなんて言葉を聞くとは思わなかったわ!」みんな笑った。自営業者から会社の経営者まで、進む道はそれぞれ違ったが、いま気持ちは一つになっていた。全員がそれぞれ、ここ数年の思いがけない変化に何とか対処しようとしていた。が、ほとんどの人が、どうずればいいのかわからないでいると告白した。やがてマイケルが言った。「僕も変わるのが怖かったよ。仕事で大きなチャンスが訪れたんだが、どうしていいかわからなかった。そうやって何もやり方を変えないでいたもんだから、チャンスもほとんどものにできなかった。それか ─ 」彼はつづけた。「ちょっと面白い物語を聞いて、すべてが変わったんた」「どんなふうに?」ネイサンが聞いた。「その物語のおかげで、変化に対する見方が変わったんだ−変化とは、何かを失うこ、だと思っていたのが、何かを得ることなのだ、とね。

そのためにはどうすればいいかと一うことも教えられたよ。それで、たちまち物事がうまくいくようになったんだ、仕事で“ 生活でも。最初は、みるからに単純な話なのでいらいらしてさ。小学校で聞かされるような話だ一たから。そのうち僕は、その単純なことがわかっていなかったこと、物事の変化に対して効果的な手が打てないでいることにいらだっているんだ、ということがわかった。物語に登場する四つのキャラクターは、僕ら自身がもっているいろいろな面を象徴しているんだが、それを納得するとともにどのキャラクターのようになりたいかがわかった。そして僕は変わったんだ。会社の人たちにもこの物語のことを話したら、その人たちがまたほかの人に伝えた。それでビジネスがずいぶん好転した。変化にうまく対応できたおかげでね。私生活でも役立つたと言う人がたくさんいるよ。もっとも、何も得られなかったという人もいるけどね。そういう人はそこに示されている教訓がわかっていて、すでにそれを身につけている人か、もっと多いのは、自分は何もかもわかっているから何も学ぶことなどないと思っている人だ。

彼らにはどうしてその物語がそんなに多くの人にプラスになっているのか理解できなかったんだよ。重役の一人に変化に順応できないでいる人がいるんだが、彼がこの物語は時間のむだだと言ったとき、みんなは、あなたのような人も物語に出てくるよ、と言って笑ったよ。新しいことを何も学ばず、変わろうとしない人って意味なんだがね」「それ、どんな物語なの?」アンジェラが聞いた。「『チーズはどこへ消えた?』というんだ」みんな笑った。「面白そうだね」カーロスが言った。「それ、話してくれるかい?僕らも何か得ることができそうだ」「いいよ」マイケルはうなずいた。「喜んで。そう長い話じゃないんだ」そして、彼は話しはじめた。

 

物語 チーズは、どこへ消えた?

 

昔、ある遠い国に、二匹のネズミと二人の小人が住んでいた。彼らはいつも迷路でチーズを探しまわっていた。食料にするためと、幸せになるためだ。二匹のネズミは、「スニッフ」と「スカリー」という名前。小人はネズミと同じくらい小さく、見かけも行動も私たちにそっくりで、名前は「ヘム」と「ホー」だ。彼らはとても小さいので、何をしているのかわからないだろう。でも、よく注意して見れば、本当にびっくりするようなことに気づくはずだ!ネズミと小人は毎日、自分たちの特別なチーズをみつけようと、長いこと迷路を探しまわった。

なにしろスニッフとスカリーはネズミだから単純な頭脳しかもっていなかったが、すぐれた本能があり、大好きなガリガリかじれる固いチーズを探していた。小人のヘムとホーはいろいろな考えがいっぱい詰まった頭を使って、まったく別のチーズ・・・・・真のチーズをみつけようとしていた。みつけられれば幸せになり、成功を味わうことができると信じていたのだ。このようにネズミと小人は違っていたが、同じところもあった。毎朝、みんなジョギング.ウェアとランニング・シューズを身につけ、小さな自宅を出ると、好みのチーズを探しに迷路へ急いだ。その迷路はいくつもの通路と部屋からなる迷宮で、どこかに美味なチーズがあった。しかし、暗がりや袋小路もあって、すぐに道に迷ってしまいかねない。

それでも、迷路にはいい暮らしができるようになるチーズが隠されていて、そこにたどりつくことさえできればチーズが手に入るのだ。ネズミのスニッフとスカリーは、単純で非能率的な方法、つまり試行錯誤を繰り返しながらチーズを探した。ある通路を進んでいって何もなければ、引き返して今度は別の通路を探す。そして何もなかった通路は覚えておいて、つねに新しいところへ進んだのだ。スニッフはよく利く鼻でチーズのある場所をかぎつけようとし、スカリーのほうはひたすら突き進む。案の定、二匹は道に迷い、袋小路に突き当たることもしばしばだった。それでも、そのうち道をみつけて進んでいった。一方、小人のヘムとホーも過去の経験から得た教訓と思考による方法をとっていたが、複雑な頭脳にたより、もっと高度な方法をつくりあげた。二人はうまくいくときもあったが、強力な人間の信念と感情がものの見方を鈍らせてしまうこともあった。そのため迷路の中で生きるのがいっそう複雑で難しいものになった。それでも、スニッフとスカリーも、ヘムとホーも、とうとうそれぞれ自分たちのやり方で、探していたものをみつけた。

ある日、チーズ・ステーションCの通路の端で、好みのチーズを発見したのだ。それからは毎朝、ネズミも小人もチーズ・ステーションCに向かった。まもなくそれぞれの日課ができあがった。スニッフとスカリーは毎日、早起きをして迷路へ急いだ。いつも通るのは同じ道。目的地につくと、ランニング・シュースを脱いで両方のひもを結び、首にかける・・・・いっでもすぐ履けるように。それから、チーズにとりかかる。ヘムとホーも初めは毎朝、チーズ・ステーションCに急ぎ、新しい美味なごちそうに舌つづみを打った。ところがしばらくすると、二人の日課が変わった。少し遅く起き、ゆっくり服を着て、歩いてチーズ・ステーションCに向かうようになったのだ。どのみちチーズがある場所も行く道もわかっているのだ。

チーズがどこから来るのか、誰が置いていくのかはわからなかった。ただそこにあるのが当然のことになっていた。ヘムとホーは毎朝、チーズ・ステーションCにつくと、腰を落ち着け、くつろいだ。ジョギング・ウェアを壁にかけ、ランニング・シューズを脱いでスリッパに履きかえる。チーズがみつかったので、すっかり気が楽になっていた。「まったくすばらしい」ヘムは言った。「これだけあればずっと大丈夫だ」小人たちは幸せになり、うまくいったことを喜び、自分たちは安泰だと思った。まもなくヘムとホーは、そのチーズを自分たちのものだと考えるようになった。チーズは大量にあったので、ついに二人は近くに引っ越し、そこで社会生活を築いた。二人はもっと落ち着いた気持ちになりたいと思い、壁に格言を書き、そのうえチーズの絵まで描いて楽しんだ。格言はこうだ・・・・

二人はチーズ・ステーションCに友達をつれていくこともあった。山のようなチーズを見せ、指さして誇らしげに言ったものだ。「すごいチーズだろう、どうだい?」友達に分けてやるときもあり、やらないときもあった。「ぼくらはぞれだけのことをしたんだ」ヘムは言った。「実際、長いこと勤勉に働いたし、これをみつけるのは大変だったもの」そうして、新鮮でおいしいチーズを一切れつまみ、口に運んだ。それから彼はいつものように、眠りに落ちた。二人は毎晩、チーズをおなかいっぱい食べてよたよたしながら家路につき、毎朝、自信満々で、きょうはもっとたくさん食べようと思いながらチーズのところに戻っていった。こうした日々がかなりつづいた。やがて二人は慢心するようになった。安心しきって、知らないうちに何かが進行していることに気づきもしなかった。本文P.1〜25より

 

 

 

・・・・続きは書店で・・・・

http://www.books-ruhe.co.jp/ ****** ・・・・・・HOME・・・・・・