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 SPEED The zombies series
著者
金城一紀 /著
出版社
角川書店
定価
税込価格 1155円
第一刷発行
2005/07
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ISBN 4-04-873626-4
 
いつか、おまえのジュテ(跳躍)を見せてくれよ−−。待望の最新刊。
 

本の要約


ゾンビーズ・シリーズ最新作!岡本佳奈子、十六歳、真面目で平凡な女子高生。そして―。家庭教師の謎の死+ザ・ゾンビーズ+憎むべき敵+赤い車=生まれて初めての冒険!



オススメな本 内容抜粋

いま、わたしのまえに憎むべき敵が立っている。
敵は右手に黒光りしている武器を持ち、顔には薄ら笑いを浮かべながら、わたしを見つ
めている。
頼りにしていた朴舜臣は武器の餌食になって敵の足元に倒れているし、わたしの背後に
立っている南方たちは敵を恐れているのか、じっとしたまま動こうとしない。
敵がわたしに向かって一歩を踏み出した。
わたしとの距離はニメートルぐらいに縮まった。
敵が右手の武器を顔のまえにかざし、冷たい声で言った。
「関わらなきゃよかったって、後悔してるだろう?」
後悔なんてしてない。
でも、一瞬だけこう思ったことは確かだ。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
ほんのひと月ほどまえまで、わたしは家と学校のあいだを往復するだけの毎日を送って
いたような、平凡な女子高生だったのだ。
わたしの一瞬の戸惑いを感じ取ったのか、敵が見下したような笑みを唇の端っこに貼り
つけた。
くやしい。
でも、その笑みを奪い取る方法を、わたしは知らない。
敵の顔から笑みが自然に剥がれ落ち、その代わりに武器の照準を定めるための鋭い眼差
しが現れ、わたしの顔に向けられた。
時間が止まった。
音が消え、わたしに見えている世界は一時停止ボタンを押したように動きを止めている
のに、わたしの両足だけは小刻みに震えている。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
ちょうどいい。
時問が止まっているあいだに、わたしがどうしてこんなことに巻き込まれてしまったの
か、初めから思い返してみよう。もしかしたら、人が死ぬまえに見るとかいう走馬灯が動
き始めつつあるのかもしれないけれどー.
念のために言っておこう。
いまからわたしが話そうと思ってるのは、わたしの生まれて初めての冒険の話だ。

(本文P. 5〜7より引用)



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