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悪と仮面のルール

 
中村文則/著 出版社:講談社 定価(税込):1,680円  
第一刷発行:2010年06月 ISBN:(4-06-216370-5)
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悪と仮面のルール 中村文則/著

本の要約

父から「悪の欠片」として育てられることになった僕は、「邪」の家系を絶つため父の殺害を決意する。それは、すべて屋敷に引き取られた養女・香織のためだった。十数年後、顔を変え、他人の身分を手に入れた僕は、居場所がわからなくなっていた香織の調査を探偵に依頼する。街ではテログループ「JL」が爆発騒ぎを起こし、政治家を狙った連続殺人事件に発展。僕の周りには刑事がうろつき始める。しかも、香織には過去の繰り返しのように、巨大な悪の影がつきまとっていた。それは、絶ったはずの家系の男だった―。刑事、探偵、テログループ、邪の家系…世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。新たなる、決定的代表作。

      中村文則

2010/07/15 

中村先生にご来店していただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。

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中村 文則 (ナカムラ フミノリ) 

1977年、愛知県生まれ。福島大学行政社会学部応用社会学科卒業。2002年、『銃』で新潮新人賞を受賞してデビュー。04年、『遮光』で野間文芸新人賞を受賞。05年、『土の中の子供』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

中村文則 公式サイト


オススメな本 内容抜粋

刑事の日記(紙片)
あの大きな事件が思わぬ形で解決に向かった時、その周囲でいくつかの不自然な死体が
あったことは、それほど語られていない。
事件との本当の関連もまだ明確ではなく、何より重大な証拠が消えた今、真実を確かめ
るのは不可能となってしまった。わたしが調べたのは一人の男だったが、後になって考え
てみれば、それは一組の男女だった。わたしは捜査員の一人として事件を追ったが、あの
ような解決でよかったのかと自問する。わたしは、ずっと大きな勘違いをしていたのかも
しれない。今になって思えばわたしだけが、ある偶然から、繋がりそうで繋がることのな
かったあの一連の事件の全ての真相に、最も近い場所にいたのではないかと思えてならな
い。
あの男女がどういう関係にあったのか、はっきりとはわからない。だが、わたしはずっ
と、一つの仮説に囚われている。あの男がもし、あのいくつかの不可解な事件について、
そして自分の人生について全てを語るのなら、わたしは聞いてみたい。事件の解決という
よりは、一人の人間として、聞いてみたいと思うのだ。
振り返れば、わたしは自分の人生をほとんど生きていない。刑事として、常に誰かの人
生に関わりながら生きた。誰かの人生に入り込み、顔を出し、それをしかるべき(逮捕
し、罪を償わせる)方向に向けさせるのがわたしの人生だった。妙な言い方になるが、主
役は常に犯人だった。自分の人生というよりは、犯人についてばかり、わたしは考えて生
きた。そういう意味では、他人を主体とした、様々な人生に対する観察者のような存在だ
った。
この事件が物語であるのなら、わたしは当然のことながら、脇役となる。登場すること
の少ない、完全な脇役である。だがわたしは、特異な家系に生まれ育ったあの男と、わた
しの推測が正しいのなら、人生を間違えてしまったあの男と、もう一度話をしてみたい。
わたしは今になって、彼の全てを知りたいと願う。
刑事というよりは、一人の人間として。刑事であるのに社会を恨み続けてきた、一人の
人間として。


(本文P. 3〜5より引用)


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